パーティ構築手法            2018/04/14 はまっちゃった人 ※当文書では、ニンテンドウカップ2000を想定する。 ※技名及び持ち物名については、必要に応じ漢字表記・アルファベット表記とする。 1.はじめに  van氏の新理論研究の準備として、流しコストの概念とゲーム理論の概念をベースに理論の再構築を行うこととした。  今回は、パーティ構築手法について理論化する。 2.選択肢として見るパーティ パーティは、「パーティ選択の場面における選択肢」として見ることができる。 (1)パーティ選択読みの重要性 パーティ選択はポケモンバトルにおける一番最初の場面であるゆえに、重要性が高い。 パーティ選択の場面で出したパーティによって、その後の場面における選択肢や利得量が規定される。 つまり、選択するパーティ次第で、その後の展開が楽になるか否かが決まる。 (2)パーティの利得分布 パーティは「パーティ選択の場面における選択肢」であり、    パーティを作成するということは、選択肢を作成するということである。 パーティを作成する際は、パーティ選択の場面の読みでどのような利得分布を持つ選択肢を用意すれば優位に立てるのか、  つまりどの相手への対策を重視する必要があるのか、またどの相手は対策が甘めで良いのか、を最初に考える必要がある。    (詳しくは後述するが、どの相手にも強くすることはできないので、どの相手に強くどの相手に弱くするのかメリハリをつける) 例えば、流行や自分の手持ちのパーティを考慮して55ミルタンクに強いパーティを作る、    その代わり55ガラガラには弱くても構わない、というのであれば、    次に作成するパーティ(選択肢)は以下の利得分布の実現を目指して作成することになる。        自分\相手 55ミルタンク 55ガラガラ  その他    新パーティ 勝率高    勝率低    勝率中        なお、後述する個別分析の知見が十分に蓄えられていれば、    パーティの利得分布が決まった時点でパーティの軸をいくつかに絞ることができる。    上記の例では、55ライコウや55カイリキーを軸にパーティを構築していくことになるだろう。  (3)用意するパーティの数    ローカルルールにもよるが、1試合毎にパーティの変更を認められることがある。    その場合、1つのパーティを使い続けると相性の悪いパーティを使われることがあり、    その逆に相手が使うパーティに対して強いパーティを使うこともできる。    そのため、異なる利得分布を持つパーティを複数用意すると、一般的には優位に立つことができる。    用意するパーティの数だが、育成の問題を無視したとしても、人力では3〜5個程度が望ましいだろう。    10個を超えてくると管理しきれなくなる可能性が高い。    具体的には、最新の型・流行に対応するためのメンテナンスが追いつかなくなる、    1つ1つのパーティの完成度が落ちる、等の弊害が発生する。 3.ポケモンの個別分析  パーティを作成するためには、ポケモンの個別分析が必要になる。  個別分析では、どの種族にどのような技・持ち物・ステータス(レベル・固体値・努力値)等を持たせることで、  どのような役割を遂行できるのか、を分析する。  現実の産業で言えば個別分析は要素技術に該当するものであり、個別分析を深めることはパーティを作成する上での基礎となる。    具体的に言えば、個別分析で知る必要があるのは以下のような情報である。  ・ハガネール   大爆発+嫌な音を持たせる→鈍いを持つ55カビゴンを1対1交換で流すことができる  ・ガラガラ   レベル55で地震+太い骨を持たせる→レベル50スイクンが2発になり、寝言持ちだとしても流されなくなり倒すことができる  ・カイリキー   レベル50でクロスチョップ+黄金の実を持たせる→55カビゴンを1回流すことができる  また、複数のポケモンの組み合わせについても、  強力なシナジーを持ち対策が困難な組み合わせがあれば分析の対象にするべきである。  例えば、高速移動+バトンタッチの50サンダースと剣の舞の55ガラガラの組み合わせは強力である。  詳しく述べると、55ガラガラが剣の舞を使えばほとんどのポケモンを1発で倒すことができるようになり、  高速移動で素早さを補えばガラガラを先手で倒すこともできなくなるため、対策が困難である。  このような戦術に対しては、どのような戦術で対策できるのか、またサンダース+ガラガラ側はそれに対する対抗手段があるのか、  を分析する必要がある。 4.モジュール型とインテグラル型の概念  パーティに入れる各ポケモンには、各々の相手に対して以下の役割を担わせる必要がある。  ・相手のポケモンを流す。  ・相手のポケモンに高い流しコストを与える。それができない場合はサポートを行う。  1匹のポケモン単独で1つの役割を完遂できる場合もあれば、複数のポケモンを組み合わせて1つの役割を遂行できる場合もある。  例えば、捨て身タックルと眠るを持つ50カビゴンを流す場合、  クロスチョップ持ちの50カイリキーであれば単独で役割を完遂できるが、  毒毒甘える50ブラッキーの場合は雷持ちの55サンダー等と組み合わせないと役割を遂行できない。  (毒毒だけでは50カビゴンを倒せないため。なお、55サンダー単独でも捨て身タックルのダメージが重く流すことができない。)    ここでは、1匹のポケモン単独で1つの役割を完遂することを目指す構築手法を「モジュール型」、  特定のポケモンを組み合わせることで大量の役割を遂行することを目指す構築手法を「インテグラル型」と呼ぶことする。  この2つの構築手法の解説については、以下の通りである。    (1)モジュール型の構築手法    @モジュール型の構築手法の効果     モジュール型の構築手法を取り入れることにより、     「全60通りの選出パターンをフル活用する」ことと「必要な役割を3匹の選出枠で収める」ことを実現できる。     これらの2つのことを実現することによりパーティに汎用性を持たせることができる。          ・全60通りの選出パターンをフル活用する      あるポケモンと組み合わせることを前提とする型のポケモンを採用してしまうと、      他のポケモンと組み合わせた場合に十分な力を発揮できなくなり、実質的に有効な選出パターンが減少してしまう。      例えば、毒毒甘える50ブラッキーは流しコストを軽減させるためのサポートに特化した型であるが、      この型のブラッキーを活かすためには高攻撃力を持つポケモンと組み合わせる必要がある。      そのため、55サンダーとの相性は良いが、      50ゲンガーや50ハガネール等と組み合わせた場合は十分に力を発揮することができない。      (ゲンガーやハガネールは流しコスト軽減のサポートは必要とせず、どちらかと言うと受けきられてしまうことが問題)            また、あるポケモンと組み合わせることを前提とする技が存在すると、単独で役割を遂行する際の性能が落ちる問題もある。      例えば、50サンダースに高速移動とバトンタッチを持たせた場合、      サンダース自らは高速移動やバトンタッチを必要としないため、      サンダースが水ポケモンやサンダーを流す際の性能が落ちてしまう。      具体的には、眠るや寝言が入らなくなることにより、流しの回数に制限が出てしまう。            ポケモン同士の依存関係をなくし、1匹1匹単独の性能を高めることで、      これらの問題点を解消し、汎用性を高めることができる。          ・必要な役割を3匹の選出枠で収める      ポケモン対戦では6匹全員出せるわけではなく3匹を選択する必要があるため、      1匹のポケモンを対策するのに2匹の選出が強いられてしまうと、3匹の枠に収まらなくなる危険が高まる。      例えば、毒毒甘える50ブラッキー+55サンダーで50カビゴンを流す場合、      相手が55ライコウと組み合わせてくるのであれば、55ライコウに対抗できるポケモンを3匹目に入れる必要がある。      しかし、相手はまだ1枠あり、50ブラッキー+55サンダー+ライコウ対策に強いポケモンを更に入れることができるため、      3匹で相手の3匹のポケモンの組み合わせに対抗することができなくなってしまう。            1匹のポケモンで1匹のポケモンの対策を完遂することを基本とすることで、      この問題を防ぎ、汎用性を高めることができる。          モジュール型の構築手法は、どのようなルールであったとしても適用可能である。     パーティの汎用性を高める上での一般的な構築手法である、と言うことができる。    Aモジュール型の構築手法におけるシナジー     モジュール型の構築手法では、1匹のポケモン単独で1つの役割を完遂することを目的としているが、     これはシナジーを求めないという意味ではない。     この構築手法では、1匹のポケモンで不足する役割を他のポケモンでカバーする、という形でシナジーを生み出す。     具体的には以下のようにシナジーを生み出す。そのことで汎用性を生み出すことができる。          ・流し役割の範囲が足りない場合      他のポケモンと足りない範囲をカバーし合うことで、シナジーを生み出す。      この際、相手の1匹のポケモンに対して1匹の流しを用意するだけでは不十分で、複数匹用意することが必要である。      流しが1匹しかいない場合は、その流しに対して複数匹で攻撃されて崩されたり、      他のポケモンとの1対1交換を余儀なくされて崩される危険がある。      例えば、相手のカビゴンの流しとしては、ムウマの他にカイリキー等も用意するべきである。      ムウマ単独の場合は、ガラガラと組み合わされた場合に問題が出る。      攻撃力の高いガラガラに対して受けコストを払い続けることはできず、道連れで1対1交換する必要があるが、      ムウマで相手のカビゴンを流さなければならないのであればそれもできず、八方塞りになる。      しかし後ろにカイリキーが控えていれば、ムウマがガラガラと1対1交換したとしても、      引き続きカイリキーでカビゴンを流すことが可能となる。          ・流しの回数が足りない場合      複数匹で流す、周りのポケモンのサポートを厚くする、といった方法でカバーする。      例えば、55カビゴンは55サンダーに対する流しの回数が不足している。      そのため、ハガネールやナッシー等のサブの流しを用意する、      各ポケモンに冷凍ビームや電磁波等を持たせてサンダーに隙を見せないようにする、等の対応を取る。      また、潰しコストを払えるケース(いわゆる対面有利)を増やし流しに回らないようにする、という方法もある。      この方法は、受けコストが重いルールでは特に重要となる。     ・潰せる(高い流しコストを与えられる)範囲が足りない場合      他のポケモンと足りない範囲をカバーし合うことで、シナジーを生み出す。      この際、特定の対策で対処されたり、3匹の選出枠で収まらなくなる事態を避けるために、      相手に高い流しコストを与える手段は複数種類用意することが重要となる。      例えば、自爆・大爆発からのタイマン狙い一辺倒だと、      バンギラスやムウマ等のノーマル耐性やリフレクターを入れられただけで対策されてしまうことになりかねない。      また、雷カビゴン+岩雪崩めざめるパワー飛行ガラガラによる攻め一辺倒だと、      バンギラス+ヘラクロス+サンダーのような出され方をされた場合に、      流しを考えるとカイリキー+エアームド+カビゴンのような選出になってしまい、      ガラガラを出して相手を崩すことができなくなってしまう。      (俗に言う攻めと受けが一致しないことによる問題)      ここで、スターミーをサブの攻めとして入れておけば、      スターミーでバンギラスを流しつつ後ろのヘラクロスやサンダーを倒すことに期待できる。          ・十分なサポートを行えない場合      流しにくるポケモンに対して十分なサポートができず、流しコストの軽減ができない場合は、      その相手のポケモンに対する流しとして強力な流し(流しの回数が大きい流し)を用意することで対処する。      極端な例を言えば、威張る+身代わりサンダースとムウマはその例である。      威張る+身代わりを持つサンダースはカビゴンを倒せる可能性があるが、      倒せない場合は威張るで攻撃力が上がったカビゴンを流す必要が出てきてしまう。      しかし、ムウマであれば無効属性を利用して流すことができるため、このような状況にも対応することができる。  (2)インテグラル型の構築手法    ルールによっては、特定のポケモンを組み合わせることで大量の役割を遂行可能となる場合がある。    個別分析の結果、そのような戦術が存在することを確認できた場合は、    モジュール型の構築手法を無視してでも特定のポケモンの組み合わせに特化することに合理性が出る。    ニンテンドウカップ2000にはそのような戦術は存在しないが、    かつてはインテグラル型の構築手法が有効とされる戦術が存在していた。    前述した高速移動+バトンタッチの50サンダースと剣の舞の55ガラガラの組み合わせ(通称キルパ)がその戦術で、    2003年頃の分析では対策が洗い出しきれておらず、    対策らしい対策は吹き飛ばしエアームドや55スイクン・53以上パルシェンしか発掘されていなかった。    もし、対策法がこれらのポケモンのみであれば、残りのポケモンでこれらのポケモンに強くすることは容易であり、    モジュール型の構築手法をも上回る汎用性を確保することができる。 5.対策コストの概念  パーティの中に対策(役割)を押し込む際には、効率の良い押し込み方が存在する。  効率の良さを示す指標が「対策コスト」であり、対策コストを意識したパーティ構築を行うことで汎用性を高めることができる。  (1)対策コストの説明 対策コストは、特定の相手の対策を行う際に、資源(※)の固定を行うことによって発生する。 ある相手を対策する際に発生した対策コストが高ければ高いほど、他の相手の対策を行うことが困難になる。 ※資源 パーティの構成要素。 種族・技・持ち物・ステータス(レベル・固体値・努力値)等のことを指す。 これらの資源には、ルールによって制限がかけられる(使用禁止の種族がいる、レベル上限がある、等)。    例えば、黒い眼差し滅びの歌守るムウマ対策として吠えるを覚えたライコウが必要になり、    吠えるを覚えたライコウを使用すると決めた場合、    6匹の種族の中でライコウが固定され、ライコウの4つの技の中で吠えるが固定される。    これらの資源を変更するとムウマを対策できなくなる恐れが出てくるため、容易に変更することができなくなる。    ライコウの技の候補には、他には雷やめざめるパワー、リフレクター、眠る、寝言等が存在するが、    吠えるを固定することで他の対策のためにこれらの技を入れることが困難になる。 なお、どのパーティにも強いパーティを作成できないのは、「対策コスト」という概念があるからである。 例えば、100通りの相手の対策のために6匹の種族を固定した(6匹の種族で対策コストを払っている)場合、 別の相手を対策するために別の種族を用意する(対策コストを追加する)ことは不可能になる。 ただし、対策コストを低減することはある程度であれば可能である。 上記の例で言うと、100通りの相手の対策を5匹の種族で行えるように工夫することで対策コストを減らし、 別の相手の分の対策コストを払うことができるようにする、といったことは可能である。  (2)対策コストの高低の計り方 以下のような対策を行うと、高い対策コストが発生する。 ・多くの資源を固定される対策 ・競合する資源を固定される対策 例えば、ムウマ対策のためにカイリキーのめざめるパワーゴーストを固定した場合、     カイリキーの「技」という資源を1つ固定されるだけでなく、     めざめるパワーゴーストと競合関係にある技(めざめるパワー飛行等)が併用不可能になってしまうため、     カイリキーの「技」という資源の数に余裕があったとしても(固定されていない技が1つ以上あったとしても)     ヘラクロス等の対策が困難になり、対策コストは高くつく。 (3)要求レベルと対策コストの高低 ある相手に対して高い利得量を求めれば求めるほど、高い対策コストが発生する対策の導入を余儀なくされる。 重要ではない相手に必要以上に高い利得量を求めてしまうと、    過度に高い対策コストを払うことになり重要な相手に十分な対策コストを回せなくなるため、    目指すべき利得分布や周りのポケモンとのシナジーと照らし合わせて適切な要求レベルを設定することが必要となる。        例えば、55ガラガラの対策について、「1対1交換で流せれば良い。交代読みめざめるパワー虫で流せなくなっても良い。」    という要求レベルで済ませるなら、大爆発とみずたまリボンを持った50ナッシーでも十分な対策となる。    しかし、「後出しで1対1交換せずに流す」という要求レベルが求められるのであれば、    対策手段は冷凍ビームor波乗りとリフレクターと黄金の実を持った50パルシェン等、一部の対策コストの高い手段に限られる。  (4)資源の固定の方法と対策コストの高低 同じ相手を同じ要求レベルで対策する場合でも、対策の方法によって対策コストの高低が変わる。    例えば、スターミーについて電磁波と自己再生が固定されている状態で、    スターミーを使用して寝言・眠るを使用する55カイリキーを高い確率で倒したい場合、    以下のような資源を追加する方法が考えられる。     ・サイコキネシス     ・ハイドロポンプ+怪しい光+不思議な木の実    この場合、前者の方が対策コストは低くなる。  (5)流用による対策コストの低減 ある相手への対策を行うついでに別の相手への対策を行う(資源を流用する)ことによって、対策コストを減らすことができる。 (4)の例にて、「ガラガラに1対1で勝てるポケモンを用意する」という要求が新たに生まれた場合、    前者の例では新たに波乗りかハイドロポンプか冷凍ビームを固定する必要があるが、    後者の例ではハイドロポンプを流用できるため、新たに資源を固定する必要はない。    更に、追い討ちブラッキー対策のために    「できれば光の壁で対策し、最悪でも怪しい光で運勝負に持ち込む」という要求が新たに生まれた場合、    前者の例では既に技枠を4つ使い切っているため対策コスト過多で対策を追加することができなくなってしまう。    しかし、前者の例では怪しい光をブラッキー対策にも流用できるため、対策を盛り込むことができる。 6.パーティの継続的な改良  パーティは一度作って終わりではなく、  戦術の改良や再評価(個別分析の進歩、ポケモンの強力な組み合わせの発見、等)に合わせて継続的に改良させる必要がある。  ポケモン対戦で勝つためには、如何にして戦術の改良についていくか、またリードするか、という視点が欠かせない。    (1)パーティ構築の工程    パーティを構築する上では、以下の工程が存在する。    上流工程から順番に説明する。        工程1:利得分布定義     どのような利得分布を持ったパーティが必要なのかを考え、定義する。         工程2:パーティ設計     構築手法や対策コストの考え方に基づき、6匹の種族・技・持ち物・ステータス(レベル・固体値・努力値)等を確定させる。        工程3:育成     パーティの設計通りに育成を行う。        工程4:テスト     実戦を行い、パーティが設計通りに動くことを確認する。     最終的には、利得分布通りの利得を得られることや、その利得分布の設定自体が妥当であることを確認する。        ある工程で問題が発見された場合は、前の工程から見直しを行う必要がある。    例えば、テスト工程で設計通りに相手を対策できなかった場合は、パーティの設計から見直す必要がある。        なお、上記工程にはないが、個別分析や他人のパーティの分析は常に行うべきである。    個別分析やパーティ分析は、戦術を改良させる上での基礎となる。    (2)戦術の改良・再評価への対応    戦術の改良・再評価が行われた場合、自分のパーティが当初意図した利得分布を満たせなくなることがある。    また、利得分布でその戦術の存在を考慮していなかった場合は、利得分布の定義自体やり直す必要が出ることもある。        戦術の改良・再評価が行われた場合、自分のパーティについてその影響を分析した上で、以下の対応を行う。    なお、対応を行わないまま対戦を続けた場合、改良・再評価された戦術相手に勝率を大きく落としてしまう。    暫定でも構わないので、対応は速やかに行う必要がある。     @戦術の改良・再評価による影響が無視できるほど小さい場合  対応を行わない。   A戦術の改良・再評価による影響が比較的小さい場合 既存のパーティに短時間で対応が完了する小規模な修正を加えて対応する。 (攻撃技を命中率が高いものに変える、持ち物を変更する、等) 小規模な修正で改良・再評価された戦術を導入できるのであれば、その戦術を導入しても良い。  新規ギミック・再評価されたギミックを導入しても良い。   B戦術の改良・再評価による影響が比較的大きい場合 以下に挙げる対応方法の内、いくつかの対応方法を適用し、対応を行う。 (先に挙げる方法は短時間で対応できる暫定対応、後に挙げる方法の方は根本的な本格対応となる) 2つ以上に対応方法を適用する場合、暫定対応を先に行った後、段階的に本格対応を行う。   【対応方法】 ・既存のパーティに、運・読みの良し悪しが試合に大きな影響を与える資源を盛り込む 戦術同士の相性よりも、運・読みによって勝ち負けが決まりやすい状況を作り出す。      ・改良・再評価された戦術を搭載したパーティを作成し、互角の勝負に持ち込む 戦術を丸ごと真似し、戦術同士の相性で差がつかないようにする。 ・改良・再評価された戦術に対してのみ強いパーティを用意する パーティ選択時に、読み次第で優位に立てるような状況を作る。 ・既存戦術と新規戦術(再評価された戦術)の両方に強い戦術を開発し、既存のパーティにその戦術を搭載する 戦術を新たに開発し、付け焼刃的に既存のパーティに搭載することで、短時間で優位に立つ。 ・既存戦術と新規戦術(再評価された戦術)の両方に強い戦術を開発し、その戦術を中心とした新規パーティを作成する 戦術を新たに開発し、その戦術を軸にパーティを再作成することで、大きく優位に立つ。  (3)工期短縮の手法    (2)で述べた通り、改良・再評価された戦術への対応は速やかに行う必要がある。    そこで、パーティ作成の工期を短縮することが重要となる。    工期短縮の方法としては、以下の方法がある。        ・工程の一部先取り 現在の工程で不明点があれば、先の工程の一部を先に実施することで、 不明点を明確にしてから計画を立て直すことができる。     知識や経験が不足しており不明点が多いプレイヤーにとっては、特に有効な方法となる。 先の工程を一部先取りする場合は、未決定部分を抱えたまま先の工程に進むことになる。 この場合、時間をかけて未決定部分を無理に決めようとしても、後で変更になることが多い。 また、この状態でパーティの詳細をガチガチに決めてしまうと、後の変更が大変になる。 そのため、未決定部分に関しては、適当に仮決めすると良い。 たとえば、ポケモン1匹分の枠が丸ごと未決定の場合は、 「深く考えず、他のパーティで使用したポケモンをそのまま使いまわす」 という気持ちで仮決めしておくと良い。          なお、シミュレータが存在する場合は、育成工程を省略してテスト工程を行うことができるため、強力である。        ・レビューの実施     レビューを行い複数人の目を通すことで、後工程で発生する問題をあらかじめ発見することができる。     これも知識や経験が不足しているプレイヤーに有効な方法である。     レビューは主にパーティ設計工程で行われ、これは俗に鑑定と呼ばれている。     ただし、パーティの設計が公衆の目に晒されることで、     他のプレイヤーが戦術の改良・再評価を先回りで実施する可能性があることには注意する必要がある。     特定のコミュニティ内に公開範囲を限定することで、このリスクは軽減することができる。    ・育成の効率化     パーティ作成で特に時間がかかるのは育成工程である。     育成工程は以下のような方法で効率化することができるため、各環境で効率的な育成方法がないか確認することが望ましい。          -育成環境の整備 -他者によるポケモン配布や育成代行の利用 -他のパーティの育成済みポケモンの使用 -乱数調整の実施        ・テスト工程の省略     実戦を行わない、若しくはごく少ない実戦数でパーティを完成させることで、工期を短縮することができる。     また、戦術が公衆の目に晒されることも防ぐことができる。     ただし、パーティに残存している問題を発見できなくなるため、     よほど知識や経験に自信があるプレイヤーでない限りテスト工程は省略するべきではない。     少なくとも、各種仕様・戦術や、流しコスト・構築手法等の理論的な概念を理解するまではテストは行うべきである。     また、育成時のミスも発見できなくなるため、     ステータスや技(めざめるパワーのタイプを含む)が設計通りかも別途確認する必要が出てくる。    ・AIの利用     現段階では非現実的だが、将来的には可能性がある。     パーティ設計について機械的に行える作業があれば、その作業をAIで代用することで時間と質を両立できる。     また、テスト工程について、実戦を行うことなく簡易的なテストを行うことができれば、これも工期短縮に繋がる。