対策コストと不確定要素の関係      2018/04/21 はまっちゃった人 ※当文書では、ニンテンドウカップ2000を想定する。 ※技名及び持ち物名については、必要に応じ漢字表記・アルファベット表記とする。 1.はじめに  van氏の新理論研究の準備として、流しコストの概念とゲーム理論の概念をベースに理論の再構築を行うこととした。  「パーティ構築手法」にて説明不足であった対策コストと不確定要素の関係性について、当文書で補足する。 2.対策コストと不確定要素の関係  対策コストの大きさが勝率にどの程度の影響を及ぼすのかということについて、  不確定要素(運・読み)の大きさを考慮に入れて解説する。  (1)不確定要素が全く無いケース    実際の対戦では通常起こりえないケースであるが、理解を深めるためこのケースを考える。    このケースでは、サポートを考慮した流しの回数が1回でも上回っている側が必ず勝利する。    逆に言えば、流しの回数が1回でも下回っている側は必ず敗北する。    「流しの回数の優劣を分ける分岐点」が敷居値となり、    この敷居値を下回っている場合は勝率0、敷居値を上回っている場合は勝率1となる(図1)。    敷居値を上回るまではどれだけ対策コストをかけても効果はなく、    また敷居値を上回ったらどれだけ対策コストを追加しても効果はない。    しかし、対策コストの追加により敷居値を超えられる場合、対策コストの追加は絶大な効果を発揮する。    例えば、クロバットのめざめるパワー飛行を捨て身タックルに変更することで敷居値を上回れる場合、    技を1つ変更するのみ、更に使い方が似通っている技に変更するのみ、という小さい対策コストで、    勝率が0から1に跳ね上がるという大きな効果を得ることができる。  (2)不確定要素が小さいケース    次に、急所や交代読み交代等、通常避けることができない不確定要素を考慮したケースを考える。    このケースでは、流しの回数が拮抗している場合は、勝敗が逆転する可能性がある。    そのため、対策コストの大きさと勝率の大きさの関係は、    敷居値を中心としたS字カーブを描くことになる(図2)。  (3)不確定要素が大きいケース    次に、角ドリル等の一撃必殺技や冷凍ビーム等の凍りの追加効果を持つ技を使用し、    意図的に不確定要素を大きくするケースを考える。    このケースでは、流しの回数の差が大きい場合でも、勝敗が逆転する可能性がある。    そのため、対策コストの大きさと勝率の大きさの関係を示すS字カーブの勾配がなだらかになる(図3)。  (4)不確定要素の大きさを合成したケース    ここで、(2)と(3)を合成したケースを考える。    つまり、不利な場合(敷居値を下回る場合)に不確定要素を大きくなるように立ち回り、    有利な場合(敷居値を上回る場合)は不確定要素が小さくなるように立ち回るケースである。    このケースでは、敷居値を下回る場合には逆転の可能性が高くなり、    敷居値を上回る場合には逆転の可能性が小さくなるため、勝率を高めることができる(図4)。    具体的には、以下の手段をパーティに搭載することにより、このケースを実現できる。     ・主力の攻撃技に冷凍ビームや冷凍パンチを採用する      有利な場合はダメージを与える手段として使用し、不利な場合は凍りの追加効果に期待できる。      (なお、対策としては、奇跡の実や焼けた木の実を持たせることで、相手が不利な場合の逆転を阻止できる)     ・パルシェンで撒きびしを撒く      通常は、ガラガラに対して高い受けコストを与えることで、流しの回数の面でガラガラに優位に立つための技として使用。      不利な場合にも効果を発揮し、交代読み交代を繰り返して勝敗を逆転させることができる。    しかし、以下のような手段は、(4)のケースには該当せず、(3)のケースに該当する。    (不利なパーティにのみ選出するのであれば(4)のケースとなるが、     それだけの為にポケモンを1枠消費するのは対策コストが大きすぎ、不利になる相手が増えてしまう。)     ・55ケンタロスに角ドリルと地割れを覚えさせる      高い素早さから一撃必殺技を打つことにより、殆どのポケモンに対し1対1で5割を超える勝率を誇る。      しかし、一撃必殺技が当たるか否かで勝敗が決まるため、捨て身タックルや鈍い等の技を駆使する他の型と比べると、      本来有利なはずの相手に対しても低くない確率で負けてしまう。     ・55ケンタロスに破壊光線を覚えさせ、破壊の遺伝子(※)を持たせる      高い素早さから攻撃が2段階上昇したタイプ一致破壊光線を打つことにより、殆どのポケモンを1撃で倒せる。      しかし、混乱状態になるため、捨て身タックルや鈍い等の技を駆使する他の型と比べると、      本来有利なはずの相手に対しても低くない確率で負けてしまう。       ※場に出した時に消費&効果発動。攻撃が2段階上昇する代わりに混乱状態になる。  (5)まとめ    一般論として、下記のパーティ構築を心がけると、少ない対策コストで勝率を最大限に高めることができる。     ・敷居値付近の相手に対して対策コストをかける     ・敷居値を上回る相手には不確定要素を小さく、下回る相手には不確定要素を大きくする手段を取り入れる